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氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

苔竜探し

少々小雨の降る天気の中、ゴルダはイレーヌと山の中を移動していた。
今日はエゼラルドはついて来ておらず、2人きりだ。
2人は何のために山に来ているのか、それはアルガティアが気まぐれで頼んだお使いのため。
そのお使いの内容とは、このリフィルの山にしか居ない苔竜と呼ばれる竜の背についている苔が欲しいので取ってきてほしいというもの。
苔竜は草食寄りの雑食の竜で、しかも穏やかな性格なので怒らせさえしなければ難なく頂くことは可能。

「居ないな」

「居ないわね」

イレーヌは木から木へニンジャのように飛び移りながら、ゴルダは足場が悪い山の地面を黙々と歩きながら苔竜を探すが、一向に見当たらない。
それ以外の竜やなどは見受けたが、肝心の苔竜が1匹も居ない。
苔竜は決まった場所を縄張りや住処とせず、気が向くがままに移動するのでどこに居るか皆目見当もつかないことが非常に多い。
とにかく、地道にかつ根気よく探さないと絶対に見つからないことに変わりはなかった。

「ねえ」

木の枝から逆さまになったイレーヌが話しかけてきたので、ゴルダは何だという顔をする。
ちなみに、イレーヌが今こうしていられるのは足に魔力を集中させて枝に張り付いているからだ。

「休まない?」

「まだ1時間しか歩いてないぞ」

イレーヌに休もうと言われ、ゴルダは1時間しか歩いてないぞと返す。
ゴルダがほんの子供の頃は毎日のように山の中に入って遊んでおり、休もうと言うのはいつもイレーヌからだった。


「…分かった、10分だけだ」

気づけば小雨も止んでおり、晴れ間すら見えてきた。
ゴルダはダメだと言うわけにもいかず、10分だけ休憩を許可。
イレーヌはそれを聞いて木の枝から離れ、地面へ降りた。
そして、持っていた水入れから水を飲んで一息つく。

「周りを見てくる、5分くらいでは戻る」

休んでいるイレーヌにそう言って、ゴルダは近くに苔竜が居ないか探しに出る。
だがイレーヌをほったらかすことはできないので、5分だけ探すつもりでいた。

「…っと」

付近を探している途中、ゴルダは岩で足を滑らせかけたが事なきを得た。
2人の現在位置は、山の中腹辺りでまだ木々が縦横無尽に生い茂っている場所。
この山は一応休火山で、ところどころに岩が見えるのは昔噴火した時の物だとかなんだとか言われている。
だが、休火山のわりには禿げた部分がなく、頂上まで満遍なく木々で覆われているなんとも不思議な山だ。

「戻るか」

ここで5分経ったので、ゴルダはイレーヌの所へ戻って合流した。
そして、そこからさらに1時間後。

「やっと見つけたわ、この風貌は人を選ぶわね」

「俺はどうということはないが」

ようやく苔竜を見つけた2人はさっそく苔の採取に移る。
苔竜は、翼を持たない地上生息の竜で岩のような堅殻に覆われた体の背に不思議な苔を生やしている。
性格は最初に記述したとおり穏やかで、多少蹴ったりしても背に乗っかってもどこ吹く風。
だが、怒らせると猪がマシだと思えるほどの強力な突進攻撃をしてくる。
その威力は鋼を突き破り、アダマンタイトを凹ませるほど。
ちなみに、アルガティアはこの竜を保護下に置いており、苔採取以外は原則として禁止されている。

「最近どうだ?」

「いつもと変わらずだよ、狩られることもなしだし」

イレーヌが苔を採取している間、ゴルダはその苔竜に話しかけていた。
一応ゴルダが理解できる竜語を話すので、会話はスムーズに行く。
そしてイレーヌが採取し終えると

「ありがとうな、お達者で」

「また来な、暇で仕方ない」

礼を言ってその場を去り、山を降りた。
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テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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