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氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

書簡渡し-アワパラゴンに

ドランザニアとアストライズ間を結ぶ高速鉄道。
その車内で、ゴルダは無表情にアストライズの地図を眺めていた。
現在位置は、ちょうど国境を越えてアストライズ側へ入ったところ。
なぜゴルダがアストライズへ向かっているのか。
それは昨日までに時間が遡る。

「いやいや、なんで俺が」

「文句は会談をふっかけて来た国に言うのだ」

たまたまセイグリッドに来ていたゴルダは、アルカトラスに行って代わりにアワパラゴンに手渡ししないといけない重要な書簡を渡せと拒否不可な頼まれ事をされたのだ。
無論、納得いくはずがないゴルダはアルカトラスになんで俺が行かないといけないのかと反論したところ、突如地球の某国が電撃会談を持ちかけてきたせいだと言われた。
それにゴルダはどうしようもねえ国だと文句を言いながらも、しぶしぶ引き受けて行くことに。
そして今日の早朝、ゴルダはアストライズ行きの高速鉄道に乗り込んでアストライズへと向かい今に至るのだ。

「暇してるとはいえな」

車内販売で買ったコーヒーを片手に車窓を眺めながらゴルダは呟く。
車窓から目を離し、車内のインフォメーションディスプレイに目をやると

「終点まであと5分、お忘れ物の無いようご注意ください」

という表示が、席にカバンを置き忘れた竜のイラストと共にされていた。
ゴルダは忘れ物がないかを確認し、降りる準備をして終点に停車するのを待った。
やがて列車は減速して停車。
終点のアナウンスが流れ、ドアが開くとゴルダはそのまま降りて改札を抜けて駅の外へ出る。
外では既に迎えが待機しており、ゴルダの姿を確認すると

「こちらです、ゴルダ国王代理」

竜車に乗るように言う。
ゴルダはその客席に無言で座り、揺られながらアワパラゴンの所へ向かった。

「城じゃなく、屋敷か」

竜車に揺られ1時間、ゴルダの目の前にアストライズの国旗を掲げた屋敷が見えてきた。
屋敷そのものは、何の石かは分からないが外装は荘厳な石造り。
アダマンタイト製の門を抜け、屋敷の敷地内へと入った竜車は玄関の前で止まり、客席側のドアが開き、ここの従者が中へ案内してくれた。
ゴルダはそれに従い、応接間の方へ。
応接間には、アワパラゴンが錬成したとしか思えない武器がずらりと飾られていてなんとも言えない雰囲気を放っている。
ゴルダが入ってすぐにアワパラゴンがやって来て、挨拶代りに抱きついて来た。
爺さんはいつもこうされているのかと、ゴルダは軽くアワパラゴンを撫でる。
毛は思ったよりはふわふわで、鉄がごときの硬さではなかった。

「これが爺さん…アルカトラスからの書簡だ」

このまま抱きつかれていては本来ここへ来た目的が果たせないと、ゴルダはアワパラゴンを引き離して書簡を渡す。
アワパラゴンはゴルダから書簡を受け取り、一通り読むとその場で羽ペンで返事を書く。
こんな簡単に返事を書いていいのかと、ゴルダはぽかんとしながらも考えていたが、またアワパラゴンに抱きつかれてそうも思ってはいられなくなった。

「ぬぅ」

アワパラゴンのふわふわの毛のせいでどこかへらへらしかけていたゴルダ。
従者もそれを止める様子もなく、ただ見ているだけ。
だが、アワパラゴンもこのままやっていると迷惑だと思ったらしく、30分くらいで解放してくれた。

「ちゃんと渡してなのね」

「はいはい」

出された茶を一口もつけず、ゴルダはそのまま駅まで送ってもらい、高速鉄道でドランザニアへと帰還。
その足でアルカトラスに返事が書かれた書簡を渡した。
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テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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